「遠回りしたけど、」は、うまくいかなかったこと、迷ったこと、すぐには形にならなかった経験を、事業や発信を整える視点へつなぎ直すシリーズです。感情だけで終わらせるのではなく、遠回りしたからこそ見えてきた判断基準や、続けるための考え方を記録しています。
「読まれる文章」には、時代ごとに型があります。
かつては「まとめ」や「◯選」のように、情報を整理して見せるタイトルが多く使われていました。その後、損失回避や不安を刺激する言葉が増え、最近では「◯◯な話」「◯◯な理由」「◯◯してみた」といった型もよく見かけます。
もちろん、型を使うこと自体が悪いわけではありません。ただ、型に寄せすぎるほど、そこにあったはずの判断や経験、熱意が薄くなっていくことがあります。
この記事では、情報発信が型に回収されやすい時代に、言葉の温度をどう残すか。煽りではなく、信頼で届く文章について整理します。
情報発信は、いつの時代も「読まれる型」を求めてきた

情報発信には、その時代ごとに「読まれやすい型」があります。
少し前までは、「まとめ」「◯選」「おすすめ◯選」のように、情報を整理して見せるタイトルが多く使われていました。読者にとっても、たくさんの情報の中から必要なものを短時間で選べるため、便利な形式だったと思います。
その後、検索やSNSの中で記事が並ぶようになると、より強い言葉で目を引くタイトルも増えていきました。「知らないと損をする」「やってはいけない」「ヤバイ」「末路」といった表現は、読者の不安や損失回避の感情に働きかけます。
もちろん、そうした型がすべて悪いわけではありません。情報が多すぎる時代には、まず見つけてもらうこと、開いてもらうことも大切です。どれほど丁寧に書いた記事でも、読まれなければ届かない。その現実は、発信する側であれば一度は感じるものです。
私自身も、もっと強い言葉を使わなければ読まれないのではないか、と考えたことがあります。やわらかく書いていては埋もれてしまうのではないか。もっとわかりやすく、もっと引っかかる言葉にした方がよいのではないか。そう迷う場面は、何度もありました。
けれど、読まれるための型に寄せていくほど、自分が本当に伝えたかったことから少しずつ離れていく感覚もありました。言葉は整っているのに、自分の温度が残っていない。読まれる形にはなっているのに、信頼を積み上げる文章にはなっていない。そう感じる瞬間があったのです。
型に寄せるほど、自分の判断や経験が薄くなる

最近は、「◯◯な話」「◯◯な理由」「◯◯してみた」のようなタイトルの型もよく見かけます。読みやすく、親しみやすく、クリックする前から内容の方向性がわかる。発信する側にとっても、迷わず書き出しやすい便利な形式です。
ただ、型は便利である一方で、使い方を間違えると、その人自身の判断や経験を覆い隠してしまうことがあります。
本来、文章には「なぜそう考えたのか」「どこで迷ったのか」「何を見て、どう判断したのか」が表れます。けれど、先に型へ当てはめようとすると、その途中にあった揺れや違和感、経験から得た実感が削られていきます。
AIの影響で、似たような文章が増えたと言われることもあります。たしかに、整った文章をつくる手段は以前より増えました。けれど、問題はAIそのものではないと思います。人がAIを使っても、型を使っても、そこに自分の判断や経験が残っていれば、その文章には書き手の温度が宿ります。
反対に、どれだけ人が書いた文章であっても、読まれる型に合わせることだけが目的になると、その人が本当に見てきたものや、悩んできたことが薄くなってしまいます。
伝わる文章に必要なのは、きれいに整った言葉だけではありません。読者にとって信頼できるのは、表現のうまさよりも、「この人は何を見て、どう考え、なぜこの言葉を選んだのか」が感じられる文章です。
型は、伝えるための道具です。けれど、道具に合わせて自分の判断や経験を削ってしまうと、文章は届く前に、その人らしさを失ってしまうのだと思います。
ACTIONが大切にしたいのは、煽りではなく信頼で届く言葉

ACTIONが大切にしたいのは、ただ読まれるための言葉ではありません。
不安を強く刺激したり、必要以上に危機感を煽ったりすれば、一時的に読まれる文章にはなるかもしれません。しかし、その言葉で出会った相手と、長く誠実な関係を築けるとは限りません。
事業の発信に必要なのは、読者を急かす言葉ではなく、読者が自分の状況を落ち着いて見つめ直せる言葉だと思います。押し切るのではなく、判断材料を渡す。焦らせるのではなく、必要な選択肢に気づいてもらう。その積み重ねが、信頼につながっていきます。
ACTIONでは、情報発信を単なる集客手段としてではなく、事業の価値を必要な人へ届けるための接点として捉えています。だからこそ、言葉の強さだけで引っ張るのではなく、背景や判断、届けたい相手への敬意が伝わる文章を大切にしたいと考えています。
読まれるための型を使うことはあっても、その中に自分の経験や視点が残っていること。わかりやすく整えることはあっても、書き手の温度まで削らないこと。煽りではなく、信頼で届く言葉を選ぶこと。
それが、ACTIONが情報発信やブランド設計に向き合ううえで、これからも大切にしていきたい姿勢です。
CONTENTS
情報過多の時代に、価値が届かない構造をどう変えるか。堀寛未が見た小規模事業者の情報流通課題
後発のローカルメディアは、先行メディアと同じ土俵で戦わない。Re:HIRAKATAで考えた差別化と運営戦略
情報発信が型に回収される時代に、言葉の温度をどう残すか。煽りではなく、信頼で届く文章を考える
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