「小さな事業のサステナビリティ」は、環境配慮を特別な取り組みとして切り離すのではなく、日々の事業運営の中で無理なく続けられる判断として捉えるシリーズです。前回は、小さな事業を無理なく続けるために、暮らしを削らずに働く時間と場所の設計について整理しました。
今回は、子どもの学校行事や園行事を仕事の「空き時間」に入れるのではなく、事業運営の前提として先に設計しておく考え方について整理します。
私は仕事をするうえで、子どもの学校行事や園行事にはできる限り参加すると決めています。
仕事の予定が空いていれば行くのではなく、学校や園の予定を先にスケジュールアプリへ入れ、そのうえで取材や打ち合わせ、記事制作の予定を組んでいます。
子どもの行事は、私にとって仕事の例外ではなく、事業運営の前提です。小さな事業を続けていくなら、売上や納期だけでなく、自分が守りたい時間も最初から設計に含めておく必要があると考えています。
子どもの行事を、先にスケジュールへ入れる

新しいクラスに進級すると、保護者向けの説明会で年間行事の一覧が配布されます。私は先生の話を聞きながら、スマホのスケジュールアプリに行事予定を入力していきます。
子ども関連の予定は、誰の予定かがひと目で分かるように、専用の色を決めています。たとえば長男はスカイブルー、次男はエメラルドグリーンというように色分けし、予定の冒頭には犬やアヒルなどの絵文字を入れています。
色と絵文字で視覚的に区別できるようにしておくと、アプリを開いた瞬間に、誰の予定なのかが分かります。仕事の予定と家庭の予定が混ざっていても、確認に時間がかかりません。
帰宅後に整理しようとすると、うっかり忘れてしまったり、わざわざ時間をとるのが億劫に感じたりします。スマホのスケジュールアプリなら、説明会の最中や移動中、ちょっとした隙間時間にも予定を入れられます。子どもの行事を先に可視化しておくことで、その後の仕事の予定も無理なく組みやすくなります。
子どもの行事に、行きたくても行けない保護者がいる

以前、運動会の帰り道に、おじいちゃんとおばあちゃんに手を引かれて歩いている子どもを見かけたことがあります。
そこへ、仕事中と思われるお母さんが自転車で通りかかりました。お母さんは子どもに声をかけ、短く会話をすると、また急いで別の方向へ走っていきました。
おそらく、その日は仕事の都合で運動会に参加できず、おじいちゃんとおばあちゃんが代わりに見に来ていたのだと思います。
その光景を見たとき、胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになりました。学校行事に関心がないわけでも、子どもとの時間を大切にしていないわけでもない。それでも、仕事の都合でその場にいられない保護者がいるのだと感じたからです。
生活を守れる形に、事業運営を設計する

小さな事業は、働く人の生活と切り離して考えることができません。子どもの行事、長期休暇、通院、体調、家族の予定。そうしたものをすべて後回しにして仕事を詰め込んでしまうと、どこかで無理が出ます。
だから私は、先に守りたい時間を決めたうえで、仕事の量や締切、打ち合わせの予定を組むようにしています。予定を空けておくことは、仕事を軽く見ることではありません。長く続けるために、あらかじめ必要な余白を確保しておくということです。
事業運営は、売上や効率だけで成り立つものではありません。生活を犠牲にし続ける形では、気力も判断力も削られていきます。自分や家族の暮らしを守れる形に整えておくことは、小さな事業を継続するための土台になります。
子どもの行事を先に予定へ入れることは、私にとって働き方のわがままではなく、事業を続けるための設計です。生活の大切な時間を例外にしないこと。その前提から、仕事の進め方を組み立てていきたいと考えています。
社会事業開発ACTIONのサステナビリティへの考え方
本記事で紹介した、子どもの行事を事業運営の前提にする考え方は、社会事業開発ACTIONが事業運営の中で大切にしているサステナビリティの一部です。
当組織では、事業を続けるために暮らしや家族との時間を削り続けるのではなく、働く人の生活、心身の状態、大切にしたい時間を守りながら、無理なく継続できる運営を重視しています。
サステナビリティは、環境負荷を抑えることだけではありません。事業に関わる人が燃え尽きず、必要な仕事を長く続けられる状態を整えることも、持続可能な事業運営の大切な要素です。
社会事業開発ACTIONがサステナビリティについてどのように考え、どのような取り組みを進めているかは、以下のページでご覧いただけます。
CONTENTS
紙で配らない、在庫を持たない。小さな事業ができる環境負荷の減らし方
オンラインで届けることは、効率化だけではない。小さな事業が無理なく続く提供設計
情報過多の時代に、価値が届かない構造をどう変えるか。堀寛未が見た小規模事業者の情報流通課題
後発のローカルメディアは、先行メディアと同じ土俵で戦わない。Re:HIRAKATAで考えた差別化と運営戦略
情報発信が型に回収される時代に、言葉の温度をどう残すか。煽りではなく、信頼で届く文章を考える
バックナンバーを見る
