研修・セミナーで失敗しない講師選び。実績より「自社に合うか」で考える

研修会場の前方で、スーツ姿の男女が参加者に向かって話している様子

研修・セミナー依頼の設計書」は、研修やセミナーを単発の実施で終わらせないために、依頼前に考えておきたいことを整理する全3回のシリーズです。前回は、依頼前に確認しておきたい目的・対象者・依頼範囲について整理しました。

研修やセミナーの目的、対象者、依頼範囲が整理できたら、次に考えるのは「どの講師に依頼するか」です。

講師を選ぶときは、登壇実績や過去の開催件数、担当した企業・団体の名前に目が向きやすくなります。もちろん実績は重要な判断材料ですが、それだけで決めてしまうと、当日の満足度は高くても、参加者の行動変化や事業上の成果につながらない場合があります。

この記事では、研修・セミナーで失敗しないために、講師選びで確認しておきたい視点を、依頼側の立場から整理します。

自社に合う講師を選ぶために、比較する条件を先に決める

会場で、参加者が前方の話し手に視線を向けて座っている様子

講師を探し始める前に、まず決めておきたいのは「何を基準に比較するか」です。登壇実績や肩書きだけを並べて見ても、自社に合う講師かどうかは判断しきれません。

候補者を見る前に、次のような条件を整理しておくと比較しやすくなります。

  • 実施形式は、講演型・研修型・ワークショップ型のどれが合うか
  • 参加者は、初心者向けか、実務経験者向けか
  • 内容は、事例紹介・課題整理・実務への落とし込みのどれを重視するか
  • 自社の規模感、業種、地域性、課題感に近い内容か
  • 開催後に、参加者が業務で使いやすい内容か

たとえば、大人数に向けて考え方を共有したい場合と、少人数で実務課題を整理したい場合では、適した講師は変わります。講演が得意な講師と、参加者の状況を聞きながら進める研修が得意な講師では、同じテーマでも場のつくり方が違います。

また、大企業向けの成功事例が豊富な講師でも、小規模事業者や地域事業者にそのまま当てはめられるとは限りません。見るべきなのは、華やかな実績の多さではなく、自社の状況に置き換えて考えられる内容かどうかです。

講師選びは、「有名な人を選ぶ」作業ではありません。今回の目的、参加者、実施形式、扱いたい課題に照らして、どの講師が最も条件に合うかを比較する作業です。先に比較する条件を決めておくことで、実績だけに引っ張られず、自社に合う講師を選びやすくなります。

よい依頼をするために、社内で確認しておきたいこと

会場で、参加者が手を挙げて質問や意見を示している様子

自社に合う講師を選ぶには、候補者のプロフィールや実績を見るだけではなく、依頼する側も判断材料を持っておく必要があります。講師候補に相談するときに、参加者の状態や現場の課題を具体的に伝えられれば、提案内容や受け答えから「自社に合いそうか」を判断しやすくなります。

ここで大切なのは、依頼担当者だけの想像で決めないことです。担当者の視点では整理できているように見えても、実際の参加者が感じている不安や、現場で起きているつまずきとはずれている場合があります。

確認方法として使いやすいのは、事前アンケートです。大がかりな調査である必要はありません。参加予定者に、今困っていること、今回のテーマで知りたいこと、研修後にできるようになりたいことを短く聞くだけでも、講師に伝える材料になります。

少人数の研修であれば、数名へのヒアリングでも十分です。現場責任者、参加予定者、過去に似たテーマで悩んだ人に話を聞くことで、依頼文だけでは見えにくい課題が出てきます。

たとえば、広報やSNSの研修を依頼する場合でも、「SNSについて話してほしい」だけでは内容が広すぎます。実際には、投稿内容を決められないのか、更新が続かないのか、問い合わせにつながっていないのか、担当者によって発信の品質に差があるのかで、必要な講師や内容は変わります。

参加者の現在地や実務上の課題が具体的になるほど、講師候補に相談したときの反応も見えやすくなります。社内で集めた判断材料をもとに相談することで、実績だけでは見えない「自社に合うか」を確認しやすくなります。

講師候補には、条件と課題を伝えたうえで判断する

会場で、参加者が前方に向かって拍手している様子

事前に整理した比較条件や社内で確認した課題は、候補者にできるだけ具体的に伝えます。参加者の理解度、扱いたい課題、開催後に期待する変化を共有しておくと、講師候補の提案や受け答えから、自社に合うかどうかを見やすくなります。

ここで見たいのは、講師が完璧な答えを持っているかどうかではありません。こちらの条件や課題を受け取ったうえで、今回の研修・セミナーに合わせて考えようとしているかです。

たとえば、最初から決まったテーマや資料だけを提示される場合、自社の状況に合わせた調整は難しいかもしれません。反対に、参加者の立場や現場の課題について質問があり、内容の優先順位や進行方法を一緒に整理できる場合は、依頼後の認識ずれも起きにくくなります。

講師選びは、プロフィールや実績だけで完結するものではありません。条件と課題を伝えたうえで相談し、その受け答えや提案内容を見ることで、自社に合う講師かどうかをより現実的に判断できます。

研修・セミナーの設計から相談したい方へ

社会事業開発ACTIONでは、講座・セミナー・研修・登壇のご相談を受け付けています。

テーマや講師を決める前の課題整理から、参加者に合わせた内容設計、当日の進行、開催後に実務へつなげるための構成づくりまで、目的に応じてご相談いただけます。

研修・セミナーを実施して終わりにせず、事業や現場の行動につながる機会として設計したい方は、講座・登壇相談フォームよりお問い合わせください。

次回は、研修・セミナーを開催して終わりにしないために、当日の内容を実務へつなげる設計について整理します。


CONTENTS
研修・セミナーを依頼する前に、まず整理したい3つのこと
研修・セミナーで失敗しない講師選び。実績より「自社に合うか」で考える
開催して終わりにしない。研修・セミナーを実務につなげる行動設計と社内共有


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堀 寛未

社会事業開発ACTION代表。大阪府枚方市を拠点に、広報・ブランド設計・情報発信支援を行っています。ローカルメディア「Re:HIRAKATA」では、取材・記事制作・発信設計を一貫して担い、事業や地域の取り組みを、伝わる言葉と構成に整えることを得意としています。

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