ライバルリサーチで、ブルーオーシャンを見つける。ローカルメディア立ち上げ前の競合分析

ローカルメディア立ち上げ前の競合分析について考える女性

ローカルメディアを始める前に」は、地域に向けた情報発信を一過性の更新で終わらせないために、立ち上げ前に考えておきたいことを整理するシリーズです。前回は、地域メディアを「市民全員向け」にしない理由と、立ち上げ前に考えておきたいペルソナ設定について整理しました。

最終回となる今回は、ライバルリサーチについて考えます。

ローカルメディアを立ち上げる前には、「どんな記事を書くか」だけでなく、「すでに地域にどんな情報が出ているか」を見ておく必要があります。

行政サイト、観光サイト、地域ブログ、企業のオウンドメディア、SNSアカウントなど、地域にはすでに多くの情報発信があります。そこを見ないまま始めると、既存メディアと同じ内容をなぞるだけになり、読者にとって選ぶ理由が見えにくくなります。

大切なのは、競合に勝つことではありません。

既存の発信が担っている役割を確認する。そのうえで、まだ十分に届いていない情報や、別の角度から伝えられる価値を見つける。

それが、自分たちだから扱える領域、つまり「ブルーオーシャン」を見つけることにつながります。

すでに地域にある情報発信を把握する

タブレットとスマートフォンを使って地域サイトを調べる手元

ライバルリサーチで最初に見るのは、同じ地域でどのような情報発信がすでに存在しているかです。

まずは、検索エンジンで「エリア名+ローカルメディア」と入力して確認します。たとえば枚方市で立ち上げる場合は、「枚方市 ローカルメディア」と検索します。

このとき、検索結果に出てきたすべてのページを確認する必要はありません。最初の段階では、検索結果1ページ目に表示されている上位3サイト程度を見るだけでも十分です。

私がRe:HIRAKATAを立ち上げる前に行ったライバルリサーチでは、「ひらかたつーしん」さん、「ひらいろ」さん、「奥ひら」さんなどが検索結果に表示されました。

この段階では、それぞれの媒体を細かく比較するのではなく、まず「枚方市にはすでに複数の地域情報発信がある」という前提を確認しました。

既存の発信があるから参入できないのではなく、すでにある情報発信の中で、どのような役割が担われているのかを見ることが大切です。

競合に勝つより、担う役割を見極める

ノートに書き出しながら競合媒体の役割を整理する様子

ライバルリサーチを行う目的は、相手の欠点を探すことではありません。また、うまくいっている媒体の構成や記事内容を、そのまま真似することでもありません。大切なのは、既存の媒体が、地域の中でどのような役割を担っているのかを、冷静に見極めることです。

たとえば、Re:HIRAKATAを立ち上げる前に確認した枚方市の地域情報発信には、それぞれ異なる特徴がありました。

「ひらかたつーしん」さん

枚方市内で高い認知度を持つ地域情報サイトです。ラフで親しみやすい雰囲気があり、開店・閉店情報や地域ニュースなど、日常的に確認したくなる情報が多く発信されています。

「ひらいろ」さん

枚方の観光情報を扱う媒体として、ランチ、イベント、カフェなど、枚方の魅力を市民目線で捉えながら市内外に発信されています。

「奥ひら」さん

大阪府枚方市の東部エリアに焦点を当て、四季折々の自然、フェス、サイクリングなど、地域の環境や体験を伝える発信が印象的です。

このように整理していくと、既存の媒体がそれぞれ違う役割を担っていることが見えてきます。

ライバルリサーチをすると、「もう十分に発信している人がいる」「自分が入る余地はない」と感じて、自信をなくしてしまう人も少なくありません。私がこれまで関わってきた受講生さんの中にも、競合サイトを見たことで気後れしてしまう方がいました。けれど、ライバルリサーチで見るべきなのは、相手の大きさや完成度だけではありません。

誰に向けて、どのような情報を、どのような温度感で届けているのか。そこを冷静に、客観的に整理することで、自分たちが担える役割も見えやすくなります。

まだ届いていない領域を見つける

タブレットで情報発信の方向性を設計する手元

後発でローカルメディアを立ち上げる場合、既存媒体と同じ内容を、同じ温度感で発信しても、二番煎じで終わってしまいます。同じように開店・閉店情報を追いかけ、同じように地域ニュースを扱い、同じような雰囲気で発信しても、読者にとっては新しく読む理由が生まれにくいからです。だからこそ、ライバルリサーチでは「どこが空いているのか」を見る必要があります。

私がRe:HIRAKATAを立ち上げるときに見つけたのは、ラフで速報性のある地域ニュースではなく、落ち着いた上品さのあるローカルメディアとしての立ち位置でした。開店・閉店情報や地域ニュースを中心にするのではなく、地域で活動する人の背景や想いに焦点を当て、丁寧に掘り下げること。観光地としての枚方を紹介するのではなく、実際に暮らす人の目線で、日々の生活が少し豊かになる場所や時間を紹介すること。対象エリアも、枚方市内だけに閉じるのではなく、暮らしの動線として自然につながる近隣エリアまで含めること。また、枚方市全域を広く扱うだけでなく、京阪沿線、特に枚方市駅周辺をひとつの軸として見ていくこと。

このように整理していくと、Re:HIRAKATAが担うべき領域は、既存媒体と競争する場所ではなく、まだ十分に届いていない価値を別の角度から届ける場所にあると見えてきました。

ブルーオーシャンとは、誰もいない場所を無理に探すことではありません。すでにある情報発信を尊重したうえで、自分たちだから届けられる読者、自分たちだから扱えるテーマ、自分たちだから出せる温度感を見つけることです。

ローカルメディアの立ち上げ前に行うライバルリサーチは、勝ち負けを決めるためのものではなく、地域の中で自分たちが担う役割を見つけるための作業です。

全3回にわたり、ローカルメディアを立ち上げる前に考えておきたい初期設計について整理してきました。

サイト名、ドメイン名、ロゴ、ペルソナ設定、ライバルリサーチは、どれも公開後の発信内容や運営方針に影響する土台です。

誰に届けるのか、どの立ち位置で届けるのかを立ち上げ前に整理しておくことで、発信の迷いを減らし、継続しやすい運営につながります。

ローカルメディアのコンセプト設計を整理したい方へ

社会事業開発ACTIONでは、ローカルメディアの立ち上げ前に必要なコンセプト設計、読者設定、競合分析、発信テーマの整理をサポートしています。

地域に向けて情報発信を始めたいけれど、どの立ち位置で始めればよいかわからない。既存メディアとの差別化や、継続できる運営設計を相談したい。そのような方は、お問い合わせフォームよりご相談ください。


CONTENTS
ローカルメディアを始める前に考えたい、サイト名・ドメイン名・ロゴの初期設計
ローカルメディアは誰に届けるのか。市民全員では届かないペルソナ設定
ライバルリサーチで、ブルーオーシャンを見つける。ローカルメディア立ち上げ前の競合分析


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堀 寛未

社会事業開発ACTION代表。大阪府枚方市を拠点に、広報・ブランド設計・情報発信支援を行っています。ローカルメディア「Re:HIRAKATA」では、取材・記事制作・発信設計を一貫して担い、事業や地域の取り組みを、伝わる言葉と構成に整えることを得意としています。

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